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■『Relation Office』
メタバース上では、物体同士の距離感を捉えにくいと考えられ、それは人と人との距離感にも影響してくると考えられる。そこで、物体の密度を調整することで、その距離感を適切に認識できるようにならないかと考えた。
方法として、建築の構成要素を「足場」「仕切り」「斜面」「骨組」の4つに分類し、その密度の変化のみで場所をつくりだすこととした。さらにそれぞれの要素において、不透明、半透明、透明の3つの素材感を設定して、より距離感を意識できるようにした。
それぞれの密度が低い場所では、囲われ感が低くなり、よりオープンでパブリックなスペースになると考えられる。逆に密度が高い場所ではよりパーソナルなスペースになっていく。
用途はオフィスを想定して、多様な密度感がある場での人々の距離感を検討していった。
□ CASE(1)
大規模なオフィスを想定し、そこに多様な密度の場所をランダムに混在させた。このCASE(1)では、構造的な要件を排除して、細長い搭状比や宙に浮く床など、現実世界では体験できないような場を作成して、より自由に各人が密度感を手がかりとして場所を選択できる構成とした。
□ CASE(2)
中小企業を想定し、Case(1)より構造的にもスケール的にもより現実的な計画となるようにした。
上階から下階にいくにつれてグラデーション状に徐々に各構成要素の密度が高くなるようにしている。また、大会議室、中会議室、小会議室、個室、というようにそれぞれに見合う足場の広さを設定して、密度のグラデーションに沿ってそれぞれの足場を配置していった。
密度感がグラデーションに変化していくことで、パブリックからパーソナルなスペースをより認識でき、適切な距離感の中で活動が行えるのではないかと考えている。
□模型での検討
アンリアルとリアルでの差異、それがメタバース上の建築を考える時に、重要なファクターになると考えられる。
今までメタバース上での建築を3Dモデルで作成してきたが、今回は模型にて作成した。
■『Wooden City Hall』
メタバース上では、重力そのものという実体に捉われない一方で、どのような大きなものも、浮き上がったものもつくれるために、その空間体験のリアリティそのものが希薄な、現実味のないものにもなりかねません。
木造の建築というのは、部材を組み合わせてつくられています。そして、その部材のスケールが空間の体験にも影響してくるのではないかと思います。メタバース上の建築であっても、木造の部材サイズ・寸法体系に従ってモデルを作成することで、そこにリアリティを生み出せないかと考えました。
■『60×60×30 museum』
メタバース上の建築では、光・風・音・匂い・質感・敷地・法規・構造・設備・重力・時間・場所…等、ありとあらゆる設計要素が取り除かれる。
その際の建築の在り方を考えた時に「スケール感」は一つの手がかりになるのではないかと考えた。
1500mm角のキューブを設計最小単位とし、それを拡大縮小することで大小様々な場を創り出す。用途は美術館を想定し、大きさは60m×60m×30mに設定。
このメタバース美術館では多様な「スケール感」の場で様々な「サイズ感」の芸術と対峙することができる。
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